親知らず
親知らずについて

親知らずとは、前から数えて8番目に位置する一番奥の歯で、「第三大臼歯」や「智歯」と呼ばれます。
永久歯の中では最後に生えてくる歯で、現代人は顎の大きさが小さくなっていることから、親知らずが生えるためのスペースが不足し、斜めや横向きに生えたり、歯ぐきの中に埋まったままになったりすることがあります。
親知らずが必ずしも悪い歯というわけではありません。まっすぐ正常に生えていて、周囲の歯や歯ぐきに問題を起こしていなければ、無理に抜歯する必要がない場合もあります。また、歯の移植に使える事もあるので、場合によっては抜かずにとっておいた方が良いこともあります。
親知らずは何歳くらいで
生えてくる?
親知らずは、一般的に10代後半から20代前半に生えてくることが多い歯です。
ただし、個人差が大きく、30代以降に生えてくる方や、生涯にわたって生えてこない方もいます。
また、歯ぐきの中に埋まったままになっている場合もあるため、「生えてこない=親知らずがない」とは限りません。
親知らずによる痛みについて
親知らずがまっすぐ正常に生えてくる場合は、ほとんど痛みがないこともあります。
一方、斜めや横向きに生えている場合は、歯ぐきとの間に汚れが溜まりやすく、炎症を起こして痛みや腫れが出ることがあります。「親知らずが生えてきて痛い」と感じた場合は、単純に歯が生えていることが原因ではなく、周囲の歯ぐきに炎症(智歯周囲炎)が起きている可能性があります。

- 親知らずの周囲に細菌や汚れが溜まり、
歯ぐきに炎症が起きている - 親知らずが虫歯になっている
- 歯ぐきの中で炎症が起きている
また、親知らずは歯列に入りきらない場合があり、外に向いてる場合や挺出して歯肉や頬粘膜に噛み込んでいて痛みを生じるケースもあります。
智歯周囲炎の症状
特に多いのが、親知らずの周囲に炎症が起こる「智歯周囲炎」です。親知らずの周囲に炎症が起こると、歯ぐきが赤く腫れることがあります。炎症が強くなると、頬や顎の周囲まで腫れることがあります。
また、
- 歯ぐきがズキズキする
- 噛むと痛い
- 口を開けると痛い
- 奥歯に強い違和感がある
などの症状が出ることがあります。
痛み・腫れ以外の症状
痛みや腫れのほかに、以下のような症状が見られることもあります。
- 口臭
- 口が開けにくい
- 飲み込みにくい
- 顎の下のリンパ節が腫れる
- 発熱
- 頭痛・肩こり
親知らずは抜歯するべき?
親知らずの抜歯をおすすめする
ケース
- 親知らずが繰り返し腫れる
- 虫歯になっている
- 手前の歯を虫歯にする可能性が高い
生え方をしている - 歯周病の原因になっている
- 頬や舌を傷つけている
- 周囲に嚢胞などの病変がある
- 矯正治療の計画上、抜歯が必要
上記に該当する場合は、親知らずの抜歯をおすすめいたします。
必ずしも抜歯しなくてよいケース
- まっすぐ正常に生えている
- 上下の親知らずが正常に噛み合っている
- 虫歯や歯周病がない
- 清掃がしっかりできている
- 周囲の歯に悪影響を与えていない
以上のような場合は、無理に抜歯せず経過観察できることがあります。
歯並びへの影響について
親知らずが生えることで、必ず歯並びが悪くなるわけではありません。ただし、親知らずが斜めや横向きに生えている場合、手前の歯を圧迫したり、周囲に炎症を起こしたりすることがあります。
歯並びへの影響については、親知らずの位置だけでなく、顎の大きさや歯の生え方なども含めて判断する必要があります。

矯正治療と親知らず
矯正治療を行う際、親知らずの抜歯をすすめられることがあります。
矯正治療前の抜歯は、親知らずが矯正後の歯並びに影響する可能性を考慮し、治療後の歯並びを安定させる目的で行われます。ただし、「親知らずを抜けば必ず後戻りしない」というわけではありません。
矯正治療後の後戻りには、歯を支える組織の変化や舌・唇などの口腔周囲の力、保定装置の使用状況など、さまざまな要因が関係します。
そのため、親知らずの状態と矯正治療の計画を総合的に判断して、抜歯の必要性を検討します。
親知らずの抜歯について

親知らずの抜歯に最適な時期
「何歳までに抜いた方がいい」という明確な年齢があるわけではありません。ただし、親知らずの周囲に炎症や虫歯がない状態で抜歯を検討することで、症状が出てから抜歯する場合と比べて、治療計画を立てやすいというメリットがあります。
また、若い時期は一般的に骨が比較的柔らかく、抜歯後の回復も期待しやすいとされていますが、抜歯の適切なタイミングは、親知らずの位置や根の形、周囲の神経との位置関係などによって異なります。
親知らず抜歯の難易度
親知らずの抜歯の難易度は、親知らずの生え方によって異なります。
まっすぐ生えている場合
比較的簡単なケースです。通常の奥歯と同じように抜歯できることがあります。
抜歯にかかる時間
目安として10~30分程度です。
※処置時間は歯の状態によって異なります。
抜歯の費用
健康保険が適用される場合、1,000~2,000円程度です。

横向きに生えている場合
まっすぐ生えている親知らずに比べて難易度が高くなります。歯ぐきを切開したり、歯を分割して取り出したりすることがあります。
抜歯にかかる時間
目安として30~60分程度です。
抜歯の費用
健康保険が適用される場合、2,000~4,000円程度です。

埋まっている場合
親知らずが歯ぐきや骨の中に埋まっている場合は、抜歯の難易度が高くなることがあります。特に下顎の親知らずでは、歯の根と神経の位置関係を確認することが重要です。
抜歯にかかる時間
目安として30~60分程度ですが、症例によってはそれ以上かかる場合があります。
抜歯の費用
健康保険が適用される場合、3,000~5,000円程度です。

親知らず抜歯の流れ
問診・診察
症状や既往歴などを確認します。
レントゲン・必要に応じてCT撮影
診断のためにレントゲン・必要に応じてCTを撮影し、親知らずの位置や根の形、神経との位置関係を確認します。
レントゲン写真と診査に基づいて必要な処置を判断します。
治療方針の説明
診査・診断に基づいて、説明を行います。抜歯の必要性や難易度、リスクについて説明します。不安な点や、不明点があればお気軽にご相談下さい。
抜歯の処置を行う場合には、今後の治療の流れや、処置内容と大体の処置時間をお伝えします。
麻酔
表面麻酔などを使用し、できるだけ痛みに配慮して局所麻酔を行います。
『歯を抜く』と聞いて、最も心配なのが痛みかと思います。当然抜歯中に痛みが出ないように麻酔をしますが、この麻酔自体も痛くないように工夫をしています。不安があれば、お気軽に歯科医師にお伝え下さい。
抜歯
丁寧な診査診断、清掃状況や体調の確認を終え、抜歯処置に入ります。親知らずの状態に応じて、歯ぐきの切開や歯の分割などを行います。
症例によりますが、簡単なものだと5分かからないケースも多くあります。時間がかかる場合でも、30分程度で終わるケースがほとんどです。なるべく患者さんの負担が少ないような処置を心がけていますので、どうぞご安心下さい。
止血・必要に応じて縫合
抜歯後、止血を確認し、必要に応じて縫合します。
術後の説明
薬の服用方法や抜歯後の注意事項についてご説明します。
消毒・抜糸
必要に応じて後日、傷口の状態を確認し、抜糸を行います。
抜歯後の腫れについて
術後の腫れ方には個人差があります。上顎の普通に生えている親知らずは、通常腫れません。
特に下顎の横向き・埋伏親知らずなど、難易度の高い抜歯では腫れやすくなります。腫れ方は、頬が少しふくらむ程度から、顔の輪郭が変わるほど腫れることもあります。
一般的には抜歯後2~3日程度で腫れのピークを迎え、その後徐々に改善していきます。
完全に落ち着くまでには1~2週間程度かかることもあります。

ただし、以下のような場合は、通常の術後経過ではない可能性があります。
- 日を追うごとに腫れが強くなる
- 強い痛みが長期間続く
- 高熱が出る
- 膿が出る
- 口がほとんど開かない
- 飲み込みにくい
- 呼吸がしづらい
上記のような症状がある場合は、早めに歯科医院へご連絡ください。
抜歯後の注意点と過ごし方
出血について
抜歯後はガーゼをしっかり噛んで圧迫止血します。
腫れについて
腫れは抜歯後2~3日程度をピークに、その後少しずつ改善することが一般的です。
痛みについて
痛み止めを処方しますので、指示に従って服用してください。
抜歯当日は避けていただきたいこと
以下は出血や治癒の遅れにつながる可能性があるため、お控えください。
- 激しい運動
- 飲酒
- 長時間の入浴
- 喫煙
- 強いうがい
親知らずを抜歯する
歯科医院の選び方

親知らずの抜歯は、すべて同じ難易度ではありません。特に横向きに生えている場合や、歯ぐき・骨の中に埋まっている場合は、周囲の神経や血管との位置関係を確認してから治療することが重要です。
例えば、以下に当てはまる歯科医院であれば、安心して治療を任せられるでしょう。
- 親知らずの抜歯経験が豊富
- レントゲンや必要に応じてCTで位置を
確認できる - 抜歯のメリット・デメリットを説明
してくれる - 抜歯しない選択肢についても説明
してくれる - 抜歯後の腫れや痛みについて説明
してくれる - 難しい症例では適切な医療機関へ
紹介できる
「とにかく抜く」のではなく、本当に抜歯が必要なのかを診断したうえで治療方針を決めることが大切です。
当院の院長は日本口腔外科学会の認定医ですので、難しい親知らずの抜歯も可能です。親知らずの痛みにお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。